試合が終了し、帽子をとって一礼した後、両校の選手は互いに握手をしなかった。
第88回全国高校野球選手権大会、本日の決勝戦は球史に残る試合となった。
試合は延長15回まで1-1の同点。大会規定により引き分け再試合決定。
これは昭和44年第51回大会・松山商VS三沢の決勝戦延長18回引き分け
以来の再試合となる。
夏の甲子園3連覇を目指す南北海道・駒大苫小牧と悲願の初優勝を狙う
西東京・早稲田実業。両者互角の戦い、試合が動いたのは8回だった。
駒大苫がホームランで一点先制したものの、その裏早実が一点追いついた。
そこから一球、一打が試合を左右しかねない、にらみ合いの勝負が続いた。
勝負の行方は誰にもわからなかった。
延長13回裏、早実の攻撃。駒大苫には最大のピンチが訪れたが、エース
田中が満塁作戦でそれを乗り切った。その後14回表、駒大苫に今度はチャンス
が訪れたが、早実エース斉藤は追加点を許さなかった。
両校、ピンチとチャンスを繰り返し、試合はあっという間に15回に入った。
”甲子園には魔物が住んでいる”とはよく言うが、とにかく甲子園という舞台、
特に高校野球には最後まで何が起こるかわからない特別な何かがある気が
してならない。
甲子園の風、甲子園の空気、甲子園の土・・・
私は自分が高校生の頃、母校に夏の甲子園に二度連れて行ってもらったことが
ある。選手も応援団もみんな必死だった。炎天下の中、あの甲子園のスタンドに
立っていた時の気持ちは今でも忘れられない。
早実の応援団の歌は母校の応援歌とほぼ同じだから、特に早実の攻撃の時は
自分もまるで甲子園にいるような気分になった。(おそらく母校が早実の応援歌を
参考にしているのだと思います。)
♪ソ-レソレソレ カッセー ○○!
♪ゴー ゴー ○○ かっとばせー ○○!
色つきひまわりハットをかぶって、黄色いでっかいメガホン持って、踊って歌って
必死で声を出した高校の夏。
試合は延長15回表。早実の斉藤投手は、疲れを見せるどころか、その回でさえも
147キロの豪速球を投げた。
スタミナ・スピード・コントロール、高校生とは思えない力を見せた。
高校野球では投手が連日連投になることが大きな課題となる。
プロでも連投はキツイと言われているし、肩のために連投は避けられている。
高校野球の場合は、準決勝・決勝と試合日程が上になればなるほど詰まって
くるので選手が肩を休められる時間はだんだん短くなってくる。
交代できる投手を準備できていればそれで良いのだが、だいたい1校に豪腕
エースは一人だ。
斉藤投手は駒大苫の四番・キャプテン本間選手に最後フォークボールで勝負。
固唾を飲んで見守る一球。
ストライク!!
大声援が甲子園を包んだ。
その裏15回。最後の早実の攻撃。さよならゲームのチャンス。
応援団の「紺碧の空」がいっそう大合唱となる。早実応援団には特別な時にしか
歌えない、つまり優勝の時にしか歌えない「早稲田の栄光」が準備されていた。
しかし最後、早実が高く上げたボールは駒大苫のグローブにしっかりおさまり、
試合は引き分けを告げた。
甲子園の観客は選手たちに労いの拍手を送った。
決勝戦・再試合は明日21日一時から試合開始。
駒大苫・田中投手が投げれば3連投目、早実も斉藤選手が投げれば4連投目
となる。明日、両校の選手が互いに握手を交わすとき、深紅の優勝旗は
どちらの高校に渡っているのだろうか。